10.6 真鍋淑郎氏 ノーベル物理学賞受賞
秋の到来と共に道東では、秋鮭漁の時期。ところが、網にかかったサケの多くが「えら」が白くなりすでに死んでしまっているという事態に・・。浜には、おびただしいウニの死骸が打ち上げられているのも今年の秋の特徴で、漁業に携わる人たちの不安は、とても大きなものです。サンマの代わりにぶりが豊漁だったり、北海道の海水温上昇が海の生態系にも変化をもたらし、今まで経験したことのないような赤潮被害も深刻さを増しているようです。10月5日、大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、「二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響する」という予測モデルを世界に先駆けて発表した、プリンストン大学の上級研究員でアメリカ国籍を取得している真鍋淑郎さん(90)が、ドイツとイタリアの研究者とともにノーベル物理学賞を受賞しました。
「地球上の二酸化炭素濃度が上がれば、気温が上がり、地球環境に重大な影響を及ぼす」ということを1960年代、50年前から提唱し、(今では広く知られることになった)地球温暖化の危機について警鐘を投げかけてきた研究者です。真鍋さんの研究は、気象の分野でも、長期予報や季節の傾向をコンピュータからシュミレーションして予測する現代の「予報」の基礎にもなっているそうです。
「私の研究の源は好奇心です。」と語る真鍋氏。「今の日本でも世界でも、はやりの研究テーマでコンピューターを使って結果を出すという形でやっているが、本当におもしろい研究は好奇心から出た研究が大事だ。日本の若い人たちも好奇心ばかりで研究をしていたのでは研究費が出てこないかもしれないが、そこのバランスを上手に考えてやらないと、時代の流行に流されておもしろい研究は絶対にできない。そういうところに焦点を置いてやることが重要だ」と述べており、みずからの好奇心を大切にしながら研究を行うことの大切さを強調していました。
「何だろう、不思議だな」「知りたい、できるようになりたい」人それぞれ、興味の対象や好奇心は様々。夢中になれるものを見つけて、地道に努力することが、その道で確かな成果と豊かな人生につながることを感じさせるお人柄、栄誉ある受賞となりました。
