11.30 学習におけるメタ認知能力
学習におけるメタ認知能力 ~共に学び、共に高め合う~ 学校だよりNo.9巻頭言より
古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、「彼らは何も知らないのに知っていると思い込んでいるが、私は何も知らないということを知っている。」という「無知の知」という考え方を後生に残しました。心理学では、自分の認知活動を客観的にとらえる、つまり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断する等)を(自分の思考や行動として)認識することを「メタ認知」といいます。また、自分自身を(超越した場所から)客観的に見ることに加え、自分自身をコントロールできる冷静な判断や行動までを含め、「メタ認知能力」と呼んでいます。ソクラテスほどの哲学者でも、「世の中の森羅万象について、私自身は何もわかっていないということを自覚している」と、自分の中のもう一人の自分が、冷静に「無知である自分」を認識しているという、ソクラテスのメタ認知能力の高さを示した言葉でもあります。
学習指導要領解説総則編には、次のように記されています。
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児童生徒一人一人がよりよい社会や幸福な人生を切り拓いていくためには,主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力や,自己の感情や行動を統制する力,よりよい生活や人間関係を自主的に形成する態度等が必要となる。これらは,自分の思考や行動を客観的に把握し認識する,いわゆる「メタ認知」に関わる力を含むものである。
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特に小学校高学年から、中学生期には、自己を客観視して、もう一人の自分が、
「自分の学習や行動をコントロールする」「自己や他者の感情や想いを理解する」
「自律的に学び、身につけた力を客観的に評価し、更なるゴール設定、実現につなげる」
といった、メタ認知能力が伸び、深い学びによって「生きる力」を身につけていきます。
「えがお 表現 チャレンジ ~共に学び、共に高め合う子どもたち~」を目指す、双葉広葉中学校区の小中一貫教育。コロナ禍で、「協働の学び」は厳しい前期でしたが、小中一貫教育推進月間の11月、「教え合い、学び合いの合同授業」を見ていると、自分の知識や技能を客観的にとらえ、それを他者に伝えるメタ認知的な学習、あるいは、自分の知識や技能をOUT PUT(出力)することによって自分自身のより確かな学び(メタ認知能力の向上)につながっている姿が実に新鮮でした。
異学年(異世代)の合同授業が、「先輩ってすごいな、ああなりたいな」といったあこがれや今後の成長モデルとして、また、「教え、表現することにより、より確かな知識・技能習得」「異世代の協働から得られる意欲、成就感や達成感」等々、9年間の成長や学びがつながっていると実感できました。
小学校4.5.6年生に中学校登校日がありました。6年生と合同で地域のゴミ拾い。ソプラノリコーダーとアルトリコーダーのアンサンブルを聴かせてもらいました。小1の図工素材は中1美術のコラージュ作品としてリメイクされ、その作品に小1が題名をつけました。中3が少数という概念を理解してもらおうとビデオ動画を撮影し小3の算数授業で放映されました。小4理科の授業を中学校の理科教師も手伝って設備の整った中学校理科室で行いました。
今年度7回に及ぶ小中合同会議や研修の中で、双葉広葉中学校区の良さを生かした一貫教育が見えてきました。小中の教職員が、楽しそうに「子どもたちのためにどんな授業をつくろうか」と話し合いをしている姿に一貫教育のすばらしさ、可能性を感じる11月でした。