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22.渡船の記憶(千歳川)

新・博物史 きたひろしまMAP (22) -広報きたひろしま2002年9月号掲載-

地図千歳川に船着き場の痕跡を求めて

私設渡船と汽船の音を波間に聞く


北広島市と南幌町・長沼町を分かつ千歳川。かつてこの川を舟が往来していた時代があった。

今から約70年前、現在の千歳川橋と輪厚川河口の間に入植した高嶋藤一郎さん一家も船着き場を持ち、川を横断して対岸へ渡るときには「馬舟」を使用したという。

「旧夕張川のつり橋を渡ってきた人が、対岸でおーい、おーいと呼ぶんです。両親が田んぼに出ているときは私が馬舟を出し、こっちまで乗せて来ることがありました。私は子どもでしたから、馬舟で渡る千歳川は深そうで気持ち悪かった」と当時まだ小学3年生だった高嶋さんは記憶をたどる。

両岸の大きなヤチダモに渡したロープに、ワイヤーを引っ掛けながらの渡し。長さ約4m幅約2.5mの馬舟には馬2頭が乗れた。

また高嶋さんによると、昭和15、16年ころまで千歳川を行き来する汽船が人や農産物を運んでいた。

子どもたちから「ポンポン蒸気」と呼ばれた汽船は、江別を基点に現在の千歳川を運航。高嶋さんと、少し上流にあった田中農場の船着き場からも米俵を積んだという。

だが今はその痕跡もなく、ただ千歳川がとうとうと流れている。

秋の収穫期。船倉に米俵を積み終えた汽船が夕暮れの川面をゆっくり遠ざかる。その航跡にアオサギの飛翔が映り、耳にポンポンポン…の音が残る。人口約四千人を数えたころの広島村の記憶である。


「写真:輪厚川河口付近から望む晩夏の千歳川」
写真:輪厚川河口付近から望む晩夏の千歳川

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