旧道の名残(千歳川)
掲載日:2009年3月5日
川面に残像を求めて
千歳川に旧道の名残りを見る
国道274号を長沼町へ向かうとき、千歳川を渡る千歳川橋。この橋は、かつて現在位置よりも上流にあった。今では両岸から橋に続いていた道筋だけが残され、かつての橋と道の記憶を伝えている。 広島町のあゆみ(昭和43年(1968年)刊)によると、昭和16年(1941年)に道道札幌夕張線(現在の国道274号の一部)が開通。長沼町へ行くには、共栄の交差点から現在の道道江別恵庭線の共用部分を南下し、北広島交番の手前を左折して輪厚川の右岸を東へ進んだ。その先に、千歳川を渡る木造の千歳川橋が架けられたという。この橋の完成を祝う式典には、長沼・広島両村から3世代の家族が招かれ、渡り初めをしたという話を伝え聞く。
やがて昭和33年(1958年)11月にコンクリート製の橋に架け替えられたのだが、近年、国道の切り替えにより現在の位置に移ったのである。
初夏の午後、長沼町の河川敷から北広島市を望む。近代の河川改修は古い橋脚も残さず、河川を無機的な形にした。だが自然はそこに優しい風景を取り戻さずにいられない。岸の茂みに渡り鳥が羽を休め、川面に水鳥が遊ぶ。
とうとうと流れる千歳川に輪厚川が合流する辺り。そこに眠る昭和史の断片。見上げる空はただ広く、そして美しい。
「写真:千歳川越しに旧道の名残りを望む」